MIT、学生によるAI研究論文の支持を撤回—データの信頼性に疑義
MITは、経済学博士課程の学生によるAI導入効果に関する論文について、データの信頼性が確認できないとして支持を撤回した
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マサチューセッツ工科大学(MIT)は現地時間17日、同大学経済学プログラムの博士課程学生によって執筆されたAI研究論文について、「データの出所・信頼性・妥当性に確証が持てない」として、同論文への支持を正式に撤回したと発表した。
問題となっているのは、エイダン・トナー=ロジャーズ(Aidan Toner-Rodgers)氏による論文で、AIツールを材料科学の大型研究所に導入した結果、新たな材料発見数が大幅に増加したと報告していた。この研究は一部メディア、特にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などで取り上げられ、注目を集めていた。
論文では、AIの導入により全体として研究者の生産性は向上したものの、その利益の多くはもともと高い成果を出していた研究者に集中し、さらに科学者たちの仕事満足度はむしろ低下したという興味深い結果も示されていた。
MITは公式声明の中で、「この研究に含まれるデータの真偽、研究の信憑性について一切の信頼を置けない」としており、論文著者はすでにMITを離れていることも明らかにした。
この件は、AI研究におけるデータの検証と透明性の重要性、そして学術的誠実性の維持が改めて問われる事例となっている。