米国、宇宙インフレーション探索プロジェクト「CMB-S4」を中止
米国政府は、宇宙インフレーションの証拠を探る9億ドル規模の「CMB-S4」プロジェクトを中止すると発表した。
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【ワシントン発】米国政府は、宇宙誕生直後の急膨張「宇宙インフレーション」の証拠を探るために計画されていた9億ドル規模のプロジェクト「CMB-S4」を中止した。科学誌『Science』によると、このプロジェクトでは、南極とチリのアタカマ砂漠に超高感度のマイクロ波望遠鏡を新設し、ビッグバンの残光である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)をこれまでにない精度で観測することを目指していた。
「CMB-S4」は、米国立科学財団(NSF)とエネルギー省(DOE)の共同事業として進められていたが、両機関は7月12日、プロジェクトの関係者に対し署名なしの声明を送り、「NSFとDOEはCMB-S4プロジェクトの支援を継続できないと共同で決定した」と通知した。
この決定により、宇宙論の根幹をなす理論である宇宙インフレーションの決定的証拠を得る可能性が失われることとなり、科学界に大きな衝撃を与えている。