トランプの予算案、NASAの火星サンプルリターンミッションを中止の危機に

NASAの火星探査車パーシビアランスは、2021年2月の着陸以来、ジェゼロ・クレーター内で活動を続けている。この車サイズのロボットは、火星の表面から慎重に選んだサンプルを収集し、密封して地表に配置したり、内部に格納したりしている。これらのサンプルには、謎に満ちた埃っぽい火星の過去の生命の痕跡が含まれている可能性がある。

NASAと欧州宇宙機関（ESA）は、長年にわたり、将来の宇宙船を火星に送り、パーシビアランスが収集したサンプルや大気の断片を地球に持ち帰り、最先端の機器で詳細に分析する計画を綿密に進めてきた。

しかし、トランプ大統領が5月2日に行政管理予算局（OMB）を通じて発表した2026年度の予算案は、NASAの総予算を24.3％削減し、科学予算に至っては47％もの大幅削減を提案している。この予算案の影響で、火星サンプルリターン（MSR）ミッションが中止の危機に瀕している。MSRは、火星の科学的研究において重要な一歩とされており、予算削減による中止は、宇宙探査の将来に大きな影響を与える可能性がある。